自治体が保有するデータで
”街の今と未来を見える化”
ここから始まった自治体データ活用への挑戦
姫路市データ活用プロジェクト
”データ活用”という言葉がまだ浸透していない2010年代前半、住民データをはじめとするその街の様々な情報を取り扱う自治体において、”自治体が保有するデータを業務処理以外で活用することは前例がない”・”情報管理のリスクが高い”という声が多くありました。そんな中、自治体データ活用の可能性と有効性を信じる姫路市情報担当者と出会い、「データで街の今と未来を見える化する」プロジェクトが始まりました。これが「行政情報分析基盤」のスタートです。
プロジェクトメンバー
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代表取締役
佐藤 公紀
データ活用の意義を全国の自治体へ提案していたプロジェクト発起人。
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DS部 部長
K・H
プロジェクトマネージャー。ATLのデータソリューション開拓者。
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データエンジニア
Y・Y
データエンジニアとして、開発から導入まで担当。
”データの可能性”を信じる
ある自治体職員との出会い
ATL入社以来、自治体のお客様を支援して来た佐藤は、数年で他部署へ異動する自治体において、行政内部のノウハウが異動や組織改編でリセットされてしまう状況に、”業務ごとの担当職員が持っているノウハウや経験を継続して現場に残すことができないか”と感じていた。
特に基幹システムの更改支援業務にコンサルタントとして従事していた時、住民のデータが自治体の業務処理のみに使われている実態とベンダーのシステムに依存して柔軟な活用ができないことに疑問を感じていた。
”システムの中でデータが保存されているだけでいいのか。システムの枠を超えてデータを活用することで、住民のリアルが見えて来るのではないか。地域や住民、世帯や年齢など色々な切り口からデータを分析すれば、担当職員の経験や勘のみに依存せずに、異動したばかりの職員にも分析レポートを使ってもらい、リアルタイムに地域の現状を把握して街づくりの施策を考えることができるのではないか。”そんな想いが膨らんでいった。
姫路市で「統合データベース設計業務」が検討されていることをしった時、佐藤は自治体データ活用について自身の中で抱いてきた熱い想いが溢れ、その想いを伝えた。
「実は、この統合データベース設計業務は、データ活用実現への想いとストーリーが根底にある。」と姫路市の情報担当者から同じ未来を思い描いている言葉が返って来た。
「初めてお会いしたこの日から、熱い議論を交わし、実現に向けて課題整理・技術検証・制度設計など様々なことが動き出しました。この出会いは、ビジネスマンとして経験した中でも忘れられない出会いです。何か動き始めそうと、気持ちが高ぶりました。」
未来の街づくりに必要なデータ活用とはなにか
「実際にどうシステムとして実現するのか?から組み立てていくプロジェクトでした。現場のどのような業務で利用シーンが生まれ、現状どんな課題があるのか、自治体データ活用の可能性について設計と検証を繰り返しました。庁内のデータ調査収集・加工・取り込み・分析これらを繰り返していく中で、そこから抽出される課題感とデータが意思決定根拠となる可能性の高さに、とてもワクワクしたことを覚えています。」
その一方で、日頃自治体現場と向き合っている自治体コンサルタントのメンバーから、”データが膨大にあって、レポートが見られるだけで終わってしまうモノになっていないか?”と指摘された。
「データエンジニアとしての目線でシステムを具現化するのではなく、この製品をまだ世の中にはない自治体現場で街づくりに活かしてもらうサービスにしなければならないと改めてシフトチェンジするきっかけとなりました。自治体業務と向き合う自治体コンサルタントメンバーや企業のデータを扱い事務処理を行うバックオフィスメンバー、自治体職員など多くの方からアイディアをもらい、ついに長年の想いがカタチとなっていく行政情報分析基盤プロジェクトが進んでいきました。」
データ活用構想がついにカタチに
行政情報分析基盤の誕生
「自治体の職員の方々にシステムを見てもらい、彼らの意見をもとにシステム機能と分析レポートの強化を積み重ねて行きました。人口分布・異動分析をもとに保育所などの施設の適正配置を検討したい、特定健診の受診率や結果を分析して住民の健康促進の取り組みを行いたいなど、自治体データを活用した街づくりの可能性を改めて感じるプロジェクトでした。プログラムを一行一行積み上げ、レポートの見せ方を試行錯誤しながら一枚一枚作成し、ついに行政情報分析基盤が完成しました。」
現在(令和6年1月時点)200個以上の分析レポートが生まれ、将来推計や回帰分析など新たな機能を自治体現場に提供している。
このプロジェクトを皮切りに、自治体データ活用の可能性を追求することを決め、今ではATL事業の柱の一つとなったデータ・システムエンジニアリング事業が誕生した。
ATLしかできないアイディアと技術で、社会課題の解決に挑戦し続ける
「デジタル社会が進む程、自治体が保有するデータはこれからも更なる広がりを見せると思います。今後は行政の枠を超えて、教育データや民間データさらにはSNSデータなど様々なデータと連携し、データ活用の可能性を広げていきます。そのためには、データをセキュアな環境で取り扱う必要があり、まさにATLのもう一つの強みである”ネットワーク”技術がキーとなります。人工知能やクラウドサービスなど日々進歩する技術を取り入れ、ATLしかできないアイディアと技術がこれを可能にすると信じています。私たちの挑戦が、社会課題の解決・明るい未来の街づくりに一歩ずつ近づくんだという想いで、これからもこの事業を育てて行きたいです。」
自治体データ活用から実現する未来の街が、情報・サービス・支援を本当に必要とする人々のもとへ届き、笑顔で暮らせる街であることを願い、これからも「行政情報分析基盤」は自治体の未来を支える製品として進化を続ける。